セミナー・発表会・公開授業

【寄稿】愛徳学園中・高 公開授業を終えて

 26年前、「国語表現」を担当して以来、新聞を活用し、自らスクラップした記事を「週刊国語表現」と名付けて週に一度、生徒に配布し、記事中から漢字テストを行ったり、記事にコメントを書かせたりした。7年前より、本校は生徒が将来、自ら考え、人に奉仕し、充実した人生を歩むための独自のライフキャリア教育「Rainbow Program」を展開し、そのためのツールとしてiPadの導入や、校内のWi‐Fi環境を整えたりした。それ以降、iPadや学習支援アプリ「ロイロノートスクール」などの生徒のICTスキルは飛躍的に向上し、私も授業でICT機器を使うようになった。今秋からは中学・高校とも生徒1人1台ずつiPadを持つ環境が整った。

 想像もしなかったコロナ禍の中、本校は本年度、「ロイロノートスクール」を使って「愛ちゃんねる」と名付けたオンライン授業を展開した。オンラインと対面の両方で展開してきた授業のまとめとして、公開授業では「新聞を読み、ICT(iPadと「ロイロノートスクール」)を活用し、自分の考えをまとめ発表する」をテーマに単元を組み立てた。

 iPadの使用が目的にならず、普段行っている授業の流れで展開し、生徒の考えを引き出せるよう心がけた。「自分の選んだテーマに沿って、3大ニュースを考えて発表する」取り組みで、まず、新聞を読み、ロイロノート内の「シンキングツール(思考ツール)」を使って、選んだ記事の分析と意味付け、順位付けを行った。

 そして「なぜ、その順位にしたのか」の理由をiPad上でまとめ、4人のグループごとに、互いにタブレットの画面を見せてプレゼンテーションし、質疑応答を重ねた。終了後、それぞれの作業に戻り、他者の意見も参考に自分の考えをまとめ、ロイロノートの提出箱に提出した。

 生徒は、新聞から取り出した「情報」を他の「情報」とつなげ、意味を見いだし、他者とのやり取りを通して、自分の「考え」を作り出していた。公開授業の場でも、臆することなく授業に取り組む生徒の姿が頼もしく、私も授業をしつつ楽しく感じられた。

 これからも生徒から学びつつ、もっと楽しく表現でき、もっと深く考えることができる授業を目指したい。
米田俊彦(愛徳学園中・高校教諭)(12月1日)