西上三鶴・兵庫県教育長
今こそ問題解決力育成
新型コロナウイルスの世界的な感染拡大は、まさにグローバル社会の象徴です。世界中で、日常生活はもとより経済活動、文化・スポーツ活動、全てが様変わりしてしまい、世界の風景は大きく変わってしまいました。日本においても、長期にわたる学校の臨時休業など大きな変化が短期間に生じています。今の児童・生徒は、これからこうした変化に、何度も直面することでしょう。
そのためにも、問題解決などの探究する力を育成することが重要であり、多様な情報を限られた紙面で伝える新聞、新聞の多様な情報をコンパクトに見ることができるインターネットを活用したNIEの活動は、探究活動の端緒としてとても有効です。
本年度から実践指定校となった県立神戸高塚高等学校では、生徒たちが、興味のある新聞記事を持ち寄り、その中から課題を見つけ、グループでの意見交換を中心に、新聞の情報をもとに自らの考えを深める活動を行い、生徒の問題解決力の育成に取り組んでいます。これからも、NIEの活動を通じて、児童・生徒が変化の中でもたくましく成長することを期待しています。
長田 淳・神戸市教育長
遠隔授業で新たな学び
今年度は小学校において、新学習指導要領がスタートし、神戸市においてもその理念「主体的・対話的で深い学び」に則った新しい教育活動を展開しています。しかし、新型コロナウイルス感染症の影響により、ソーシャルディスタンスを保ちながら協働学習を進めるという大きな課題に直面しています。
感染症拡大防止のためには、人との触れ合いを制限しなくてはなりません。一方、協働学習には人との触れ合いが不可欠です。この二律背反する課題にいかに対応していくのかという点において、兵庫NIE活動の報告の中で、いくつかのヒントが提示されています。
例えば記者派遣事業について、対面形式ではなく遠隔授業を各教室で同時に行い、質疑応答も子どもたちが同時に行うというオンラインによる双方向の授業でも、十分に成果を上げている実践例があると聞いています。
新しい授業スタイルとそのための教材研究も含めたこれらの実践活動は、「ポストコロナ期における新たな学びの在り方」を考える上で大きな意義があると感じています。今後もNIE活動に期待しています。
※「兵庫NIEニュース」第64号に掲載しています。