2020年12月アーカイブ

 日本新聞協会は12月14日、家族や友人と新聞を読み、話し合ってまとめた感想文が対象の第11回「いっしょに読もう!新聞コンクール」の最優秀賞に、愛知県大口町立大口西小5年、伊藤穂乃花さんら3人を選んだと発表した。国内外の小・中・高・高専生から計5万7977点の応募があった。兵庫県内からは1498点の応募があり、個人の奨励賞に3人、学校奨励賞に3校が選ばれた。県内の入賞は次の通り。(敬称略)

 【奨励賞】阪本愛子(西宮市立浜脇中1年)=朝日新聞7月24日付朝刊「自ら依頼の難病患者を殺害」を読んで▽野々山桃花(御影高1年)=読売新聞8月13日付朝刊「『バチが当たる』信じる本音は」を読んで▽瀧野日菜(加古川西高2年)=神戸新聞7月28日付朝刊「死亡前院長の家族、感染『犯罪者扱いされた』」を読んで
 【学校奨励賞】加古川西高、神戸鈴蘭台高、御影高

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 西上三鶴・兵庫県教育長

 今こそ問題解決力育成

 新型コロナウイルスの世界的な感染拡大は、まさにグローバル社会の象徴です。世界中で、日常生活はもとより経済活動、文化・スポーツ活動、全てが様変わりしてしまい、世界の風景は大きく変わってしまいました。日本においても、長期にわたる学校の臨時休業など大きな変化が短期間に生じています。今の児童・生徒は、これからこうした変化に、何度も直面することでしょう。

 そのためにも、問題解決などの探究する力を育成することが重要であり、多様な情報を限られた紙面で伝える新聞、新聞の多様な情報をコンパクトに見ることができるインターネットを活用したNIEの活動は、探究活動の端緒としてとても有効です。

 本年度から実践指定校となった県立神戸高塚高等学校では、生徒たちが、興味のある新聞記事を持ち寄り、その中から課題を見つけ、グループでの意見交換を中心に、新聞の情報をもとに自らの考えを深める活動を行い、生徒の問題解決力の育成に取り組んでいます。これからも、NIEの活動を通じて、児童・生徒が変化の中でもたくましく成長することを期待しています。

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 長田 淳・神戸市教育長

 遠隔授業で新たな学び

 今年度は小学校において、新学習指導要領がスタートし、神戸市においてもその理念「主体的・対話的で深い学び」に則った新しい教育活動を展開しています。しかし、新型コロナウイルス感染症の影響により、ソーシャルディスタンスを保ちながら協働学習を進めるという大きな課題に直面しています。

 感染症拡大防止のためには、人との触れ合いを制限しなくてはなりません。一方、協働学習には人との触れ合いが不可欠です。この二律背反する課題にいかに対応していくのかという点において、兵庫NIE活動の報告の中で、いくつかのヒントが提示されています。

 例えば記者派遣事業について、対面形式ではなく遠隔授業を各教室で同時に行い、質疑応答も子どもたちが同時に行うというオンラインによる双方向の授業でも、十分に成果を上げている実践例があると聞いています。

 新しい授業スタイルとそのための教材研究も含めたこれらの実践活動は、「ポストコロナ期における新たな学びの在り方」を考える上で大きな意義があると感じています。今後もNIE活動に期待しています。

 ※「兵庫NIEニュース」第64号に掲載しています。

  NIE公開授業が来年1月26日、姫路市豊富町御蔭の豊富小中学校である。NIE(教育に新聞を)活動を進める兵庫県NIE推進協議会の主催で、同校の井上佳尚教諭が「表現や視点の違いに着目した多紙読み比べ feat.Jamboard」をテーマに行う。対象は中学1年生。すべてテレビ会議アプリ「Zoom(ズーム)」で公開し、現地参加は受け付けない。

 参加無料。午後1時40分~2時半。終了後、意見交換会がある(Zoomで行う)。希望者は来年1月20日までに申し込む。申込書は同協議会のホームページから取り出せる。同協議会☎078・362・7054、ファクス078・362・7424

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兵庫NIEニュースを発行しました。第64号となる今回は淡路市立志筑小学校の公開授業や実践指定校で続いている記者派遣事業の様子(本号は12校を掲載)などを紹介しています。

下記リンクからPDFファイルをご覧いただけます。

 NIEニュース(64号)・PDFファイルを開く

 次年度からNIE実践指定校を希望する学校に対し、兵庫県NIE推進協議会は「プレ記者派遣事業」を行っている。「記者派遣事業って何?」の疑問に答えて、同協議会事務局から講師を派遣する。

 県立伊川谷高校(神戸市西区)では7月22日、新聞の持つ表現法を学ぶ授業を行った。対象は1年生30人。将棋の藤井聡太二冠のニュースを例に、記事の種類(本記、雑感、解説など)や、文章の書き方を説明した。

 尼崎市立立花南小学校では10月30日、防災授業を行った。対象は5年生約110人。兵庫で発生した災害や、避難所での新型コロナ対策を解説した。

 尼崎市立南武庫之荘中学校では12月4日、「新聞から学ぶ」をテーマに行い、1年生約225人が参加した。播磨特別支援学校(たつの市)でも行う予定。

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 現在、2021年度のNIE実践指定校を募集中です。指定前に、記者派遣事業を希望される学校はお声掛けください。

 兵庫県NIE推進協議会は、前年度までに実践校指定を終了した学校で「フォローアップ授業」を行っている。同協議会事務局から講師を派遣する。

 養父市立建屋小学校では8月5日、新聞に掲載された「新型コロナの国内・県内感染者数」の表を糸口に、新聞の読み方を学ぶ授業を行った。対象は6年生8人。「有事のライフライン」としての新聞の役割を知ってほしい。厳しい時をともに乗り越えよう。そんなメッセージを込めた。

 県立神戸聴覚特別支援学校(神戸市垂水区)でも近く行う予定。

 昨年度、新型コロナ対策による休校のため記者派遣事業が中止された県立津名高校(淡路市)では、本年度中に朝日新聞記者を派遣する予定。

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 終了校からのNIE授業の依頼をお待ちしています。

 26年前、「国語表現」を担当して以来、新聞を活用し、自らスクラップした記事を「週刊国語表現」と名付けて週に一度、生徒に配布し、記事中から漢字テストを行ったり、記事にコメントを書かせたりした。7年前より、本校は生徒が将来、自ら考え、人に奉仕し、充実した人生を歩むための独自のライフキャリア教育「Rainbow Program」を展開し、そのためのツールとしてiPadの導入や、校内のWi‐Fi環境を整えたりした。それ以降、iPadや学習支援アプリ「ロイロノートスクール」などの生徒のICTスキルは飛躍的に向上し、私も授業でICT機器を使うようになった。今秋からは中学・高校とも生徒1人1台ずつiPadを持つ環境が整った。

 想像もしなかったコロナ禍の中、本校は本年度、「ロイロノートスクール」を使って「愛ちゃんねる」と名付けたオンライン授業を展開した。オンラインと対面の両方で展開してきた授業のまとめとして、公開授業では「新聞を読み、ICT(iPadと「ロイロノートスクール」)を活用し、自分の考えをまとめ発表する」をテーマに単元を組み立てた。

 iPadの使用が目的にならず、普段行っている授業の流れで展開し、生徒の考えを引き出せるよう心がけた。「自分の選んだテーマに沿って、3大ニュースを考えて発表する」取り組みで、まず、新聞を読み、ロイロノート内の「シンキングツール(思考ツール)」を使って、選んだ記事の分析と意味付け、順位付けを行った。

 そして「なぜ、その順位にしたのか」の理由をiPad上でまとめ、4人のグループごとに、互いにタブレットの画面を見せてプレゼンテーションし、質疑応答を重ねた。終了後、それぞれの作業に戻り、他者の意見も参考に自分の考えをまとめ、ロイロノートの提出箱に提出した。

 生徒は、新聞から取り出した「情報」を他の「情報」とつなげ、意味を見いだし、他者とのやり取りを通して、自分の「考え」を作り出していた。公開授業の場でも、臆することなく授業に取り組む生徒の姿が頼もしく、私も授業をしつつ楽しく感じられた。

 これからも生徒から学びつつ、もっと楽しく表現でき、もっと深く考えることができる授業を目指したい。
米田俊彦(愛徳学園中・高校教諭)(12月1日)