2020年11月アーカイブ

■愛徳学園中・高校(11月24日、対象・高校2年生20人) 米田俊彦教諭が実践。生徒たちが「3大ニュース」を選び、学習支援アプリ「ロイロノート」で重要度や関心度を分析し、順位を付けてグループ内で発表し意見交換した。テレビ会議アプリ「Zoom(ズーム)」でも公開、県外からも4人が参加した。

 ※生徒の一人、臼杵(うすき)梨々菜さんが「新聞と私を繋(つな)げてくれた授業」と題して感想文を書いてくれました。

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臼杵さん感想

 中川 透・兵庫県立川西明峰高校校長(兵庫県NIE推進協議会特任アドバイザー)
 NIEを実践する上で、悩ましい課題がいくつかある。
 ①新聞を読む習慣の欠如
 ②新聞の厖大な情報量
 ③全員に配付する新聞の確保
 これらの解決のヒントとなるのが、「週刊国語表現」の発行である。1週間の記事からいろんなジャンルのものを切り抜き、プリントにして毎週配っておられるのだ。授業者のフィルターを通した資料とはなるが、限られた時間で授業を展開する上では大変有効なツールである。米田先生手作りの資料は、生徒の視野や興味・関心を確実に広げていることがうかがえた。
 愛徳学園では6年前から学習支援アプリの「ロイロノート」を全校で導入し、すべての教科・科目で活用しているという。先述の「週刊国語表現」は「ロイロノート」でデータ配信するので、生徒はそれらの記事を自由に切り取って添付することができる。以前のものもアーカイブとなっているのでいつでも取り出せるのだ。これからはこうした授業がスタンダードとなる日が来るのではとの思いも抱いた。
 この授業の年間計画は「発表する」ことに力点が置かれている。本時でも、自分が選んだ3大ニュースを4人のグループ内で発表し合う時間があった。授業後の意見交換会での、「OUTPUTすることで情報が知識となる」という米田先生のことばが印象的であった。

 福田 浩三・兵庫県立伊川谷高校教諭
新聞の活用というアナログに思える授業を想像していたが、その授業内容はiPadによるロイロノートを活用したデジタルな授業であった。授業で鉛筆やノートを一切使わず、その分、生徒は思考に費やす時間が増え、50分の授業にかかわらず非常にテンポよく授業が進んでいた。NIEの活用+ICTの効果的活用という、二面を一つの授業で見ることができた。
授業の最後には、生徒同士で班内においてプレゼンテーションを行っていた。人に話すためにはあらかじめ自分の頭の中でよく考える必要があり、それを聞いて質問するためには人の発表をしっかり聞く必要がある。このサイクルが非常によい感じで回っていた。
 意見交換会では、新聞以外にWebからの情報収集の可能性について質問があった。そこで出た「Webを使うと生徒は答えを取りに行ってしまう」という意見に共感するところがあった。
 本校も次年度から本格的にNIEの活動を行っていく予定であるため、今回は実践校の活動を見させていただき、とても多くを学ばせていただいた。

    岩橋  達彦・兵庫県立尼崎北高校教諭
    ①授業に集中している
 ②情報機器に長けている
 ③様々な知識を習得している
 情報収集時には一言もしゃべらなかった生徒たちが、発表時にはにぎやかに話し出す。普段から発表に慣れている様子がうかがえ、自分の言葉で語り合う。聞き手は傾聴を示し、話し手に安心感を与えながらも、知識を吸収する。
 皆がiPadの使用に長け、展開の速さに慣れていた。そんな中、彼女たちは情報を共有し合いながら、発表者の気持ちも共有し合う。対面ならではの温かみがそこにあり、この間の切り替えがとても早い。
 きっと、毎回の発表から、さまざまな知識を吸収しているのだろう。終わってから、生徒に質問してみると、瞬時に答えが返ってきた。その言葉から、新聞をかなり読み込んでいる様子もうかがえた。
 この完成度の高い授業に驚きを隠せない。

 岸本 佳子・産経新聞社神戸総局長
 今回初めて、NIE公開授業を見学しました。新聞と、ロイロノートスクールという授業支援アプリがどのように融合するのか、非常に興味がありました。
 正直なところ、難しいのではないかと思っていたのですが、生徒たちが、すいすいと記事を整理し考え、発表する様子に感心しました。同時に、自らの感覚の古さを反省しました。考えてみれば、例えば座標軸を用いて記事分類しようとすれば、記事を読んで理解し大意をつかむ必要があるわけです。新聞を活用した学びはデジタルツールによって一層深めることもできるのだろうと期待します。
 今回、Zoomでの視聴でしたが、こちらの機器の問題なのか、音声が聞き取りにくく、生徒たちの反応などがよくわからなかったのが残念です。

 山本直樹・岡山県NIE推進協議会事務局長(山陽新聞社読者局NIE推進部長)
 愛徳学園中・高校の公開授業は、タブレットを活用して紙面を取り込み、分類して重要度を考え、グループでプレゼンまで行い合う、濃密な内容だった。それぞれの過程で、読解力や分析力、価値判断力、発信力を育てる、素晴らしいNIEになっていた。生徒たちは、普段から新聞に接しているためかニュースを読み取る能力が高い上に、タブレットの使い方も非常に速く、習熟度に驚かされた。
 オンラインでの公開だが、定点カメラに加えて自由に動くカメラで生徒の様子を見ることができた。臨場感があり、タブレットの操作まで詳しく見て取れた。今後、岡山でオンライン公開授業を行う際の参考にしたい。
    残念だったのは音声。グループ内のプレゼンで、他の話し声などが混ざり合って発言者の声が聞き取れなかった。オンライン用のマイクを用意するなどの改善が必要ではないだろうか。
 全体的には、10月、淡路市の小学校であったオンライン公開授業に比べて、視聴状況が格段に良くなっていたと思う。関係の皆さまのご努力に敬意を表したい。

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 NIE(教育に新聞を)活動の一環で、関心のある新聞記事をまとめる公開授業が11月24日、神戸市垂水区の愛徳学園中学・高校であった。高校2年生約20人が「3大ニュース」を選び、自分の考えと共に発表した。

 兵庫県NIE推進協議会が企画。同校は本年度から日本新聞協会のNIE実践校に指定された。新型コロナウイルス対策としてビデオ会議アプリも導入し、県内外の教育関係者ら約30人が見学した。

 生徒らは興味のある記事を学習支援アプリで整理。重要度や関心度を分析し、順位を付けてグループ内で発表した。臼杵(うすき)梨々菜さん(17)は、書籍の電子化などを取り上げ「情報やデジタル関係に興味がある。授業をきっかけに新聞を読み始め、社会問題を考えるようになった」と話した。

 授業を担当した米田俊彦教諭(55)は「まとめや発表を通じて情報を生徒自身の知識とし、進路を考えるのに生かしてほしい」と話していた。(太中麻美)=25日付神戸新聞朝刊ひょうご総合面

[写真説明]興味のある記事について発表する生徒ら=神戸市垂水区歌敷山3

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 神戸市垂水区の愛徳学園高で11月24日、新聞を教育に活用するNIE(教育に新聞を)の公開授業が開かれた。

 愛徳学園中・高等学校は今年度から、NIEの実践校に指定されている。この日は「国語表現」の授業が公開された。

 参加した2年の生徒20人はまず、米田俊彦教諭(55)が選んだ記事などから、それぞれの「今年の3大ニュース」を選定。その後、グループに分かれ、なぜその記事を選んだのかなどについて、意見を交わした。

 生徒の臼杵梨々菜さん(17)は「ビッグデータの活用やデジタル社会に興味があり、新聞を読んで、便利な社会の弊害も考えるようになった。新聞を読むと、世界が抱える問題への発見がある」と話した。=25日付読売新聞朝刊神戸明石版

[写真説明]新聞を手に取り、気になる記事を見つける生徒たち(神戸市垂水区で)

 生徒の感想 西村友希さん「記事の分類・整理を通して自分の考えを整理でき、自分の新しい点も発見できた。他者の発表に対して意見を述べ、さらに考えていくのは楽しく、社会に出てからも役立つと感じた」

 ※「わたしの感想NIE」に生徒のみなさんの感想を、「セミナー・発表会・公開授業」に参加者のみなさんの感想を掲載しています。

 日本新聞協会NIEサイトにも公開授業のリポートが掲載されています。リポートはこちら

 兵庫県NIE推進協議会は、2021年度のNIE実践指定校を募っている。対象は県内の国公私立小・中・高校と特別支援学校で、学校長の承認が条件となる。

 21年度の指定校は20校で、20年度からの継続校を除く10校を募集する。応募多数の場合は地域や校種を考慮して選考する。

 日本新聞協会と連携した取り組みで、指定期間は原則2年間。各実践指定校は県内で発行されている日刊6新聞が各1部ずつ、実践教諭の人数に応じて、4カ月または2カ月、無料で提供される(英字新聞や小学生向け新聞への変更可)。記者派遣事業も利用できる。

 NIE実践について説明するオリエンテーションがある。指定校は年度末、同協議会が発行する実践報告書(A4判4㌻)と同新聞協会への報告書(A4判1枚)を提出する。

 問い合わせは兵庫県NIE推進協議会事務局☎078・362・7054(同事務局の締め切りは21年2月28日)

 〈事務局からお礼とお知らせ〉多くの学校からご応募や問い合わせをいただき、ありがとうございます。2月13日をもって締め切らせていただきます。

 NIEにご興味のある方はいつでもご連絡ください。具体的な展開方法などを紹介します。今後のNIE導入に向けての検討の一助にしてください。

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■猪名川町立中谷中学校(11月20日、対象・全校生約161人) 朝日新聞阪神支局の西見誠一支局長が「少年犯罪といじめ」と題して講演した。阪神間で過去に起きた中学生による集団暴行事件を例に、少年事件といじめ問題の共通点を解説。「いじめは犯罪。だまっているのは共犯」など著名人の言葉を紹介した。

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    県NIE推進協議会による新聞記者派遣事業で、西見誠一・朝日新聞阪神支局長が11 月20日、猪名川町立中谷中学校で「少年事件といじめ」をテーマに講演した。

 阪神間で過去に起きた中学生による集団暴行事件の例を挙げながら、少年事件といじめ問題の共通点などについて解説した。2年生の平松明日圭(あすか)さんは「講演の中で『いじめは犯罪』という芸能人の言葉が紹介され、新鮮な驚きがあった」と述べた。2年生の長瀬裕紀(ひろき)さんは「いじめを見つけたら、だめなものはだめだと言える勇気を持ちたい」と話した。=21日付朝日新聞朝刊阪神版

[写真説明]「少年事件といじめ」をテーマに講演する西見誠一・朝日新聞阪神支局長=猪名川町立中谷中学校

 生徒の感想 谷川貴悠(たかひさ)さん(2年)「いじめの傍観者ではいけない。見つけたら勇気を出して止めたい」、播野敦也さん(2年)「いじめを見つけたら親や友達に伝え、被害者を助けたい」

  ※「わたしの感想NIE」に生徒のみなさんの感想を掲載しています。

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 NIE(教育に新聞を)活動の一環として、時事通信社神戸総局の丸山実子総局長が11月18日、西宮市上甲東園2の県立西宮高校で「働くことと生きること」と題して講演した。1年生280人が参加した。

 同校は日本新聞協会のNIE実践指定校。丸山総局長は長年、香港と北京で海外特派員を務めた体験を披露。2011年、米副大統領=当時=のバイデン氏が訪中したときのエピソードなどを交え、「取材は苦労もあるが、貴重な瞬間に立ち会える喜びがある」と話した。「仕事を続ける三つのキーワードは、好奇心とやる気、広い視野」と強調した。

 永田蒼麗(そら)さんは「海外ニュースを伝える特派員の苦労と喜びを知ってあこがれを感じた」、和田慎矢さんは「三つのキーワードを心に留め、好奇心を失わずに学校生活を送りたい」と話した。(三好正文)=19日付神戸新聞朝刊阪神版

[写真説明]海外特派員の仕事について話を聞く生徒たち=西宮市上甲東園2

 ※「わたしの感想NIE」に生徒のみなさんの感想を掲載しています。

■県西宮高校(11月18日、対象・1年生280人) 時事通信神戸総局の丸山実子総局長が講演し、香港と北京の海外特派員を長年務めた体験を披露。2011年、米副大統領=当時=のバイデン氏が訪中したときのエピソードなどを交え、「取材は苦労もあるが、貴重な瞬間に立ち会える喜びが大きい」と話した。

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 新聞を教育現場で活用してもらう取り組みをしている県NIE推進協議会の記者派遣事業として、洲本市下加茂1丁目の蒼開中学で10月21日、朝日新聞神戸総局長の堀江泰史記者(57)が講演した。中学1~3年の約80人を前に、新聞社の仕組みや記者の仕事内容などについて話した。

 同中学は今年度からNIE実践指定校になっている。堀江記者は社会部や政治部、生活文化部といった新聞社内の各部の仕事内容や、役所などの発表に頼らない取材方法について約1時間、話した。

 中学2年の西口一平君(13)は「夜討ち朝駆けという、取材先の自宅を訪れる方法があることを初めて知りました。家に配達されている新聞を読む頻度を上げたいと思いました」と話した。

 県NIE推進協議会は県内の新聞、通信各社や県教委、学校などで構成。実践校に20校が指定されている。=22 日付朝日新聞朝刊神戸版

[写真説明]新聞記者の仕事についての話を聞く生徒たち=洲本市の蒼開中学校

 生徒の感想 岩塚真麻さん(3年)「初めて聞く部署名があり、どういう仕事をしているのか興味がわいた」、井岡俊介さん(3年)「夜討ち朝駆けなど僕たちが知らないところで活動し、新聞製作には時間と労力がかかっていると思った」

   ※「わたしの感想NIE」に生徒のみなさんの感想を掲載しています。
 

■蒼開中学校(10月21日、対象・1~3年生80人) 朝日新聞神戸総局の堀江泰史総局長が授業を行い、新聞社の仕組みや記者の仕事について話した。社会部や政治部、生活文化部といった新聞社内の各部の仕事内容や、役所などの発表に頼らない取材方法について説明。実名・匿名報道の意義や課題にも触れた。

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 NIE(教育に新聞を)の一環として、共同通信神戸支局の木村直登記者が11月12日、伊丹市荒牧南3の天神川小学校で「記者ってどんな仕事」と題した授業を行った。3年生125人がクラスごとに話を聞いた。

 同校は日本新聞協会のNIE実践指定校。木村記者は「例えば『鬼滅(きめつ)の刃(やいば)』はなぜ人気なのか。いろいろな場所に行き、いろいろな人から話を聞き、記事を書くのが記者の仕事」と説明。「新聞には世の中で起きたありとあらゆるニュースが載っている。自分が『へぇ~』『面白い』と思うニュースを見つけ、周りの大人や友達と話し合ってみよう」と呼び掛けた。

 メモ帳やカメラ、パソコン、名刺など記者の「七つ道具」も紹介した。岩崎凛人(りひと)君は「よく調べて間違わないように記事を書くのが大変だなと思った」。平岡由羽さんは「身近な話題もたくさん載っている新聞に興味がわいた」と話した。(三好正文)=13日付神戸新聞朝刊阪神版

[写真説明]木村記者の質問に手を挙げる児童たち=伊丹市荒牧南3

 児童の感想 阪上茉衣理さん「災害のとき、カッパなどを着て、非常食も準備して取材するのに感心した」、竹本綾音さん「取材が必要なときどこにでも行くのがすごい。これからも頑張ってください」

   ※「わたしの感想NIE」に児童のみなさんの感想を掲載しています。

■伊丹市立天神川小学校(11月12日、対象・3年生125人) 共同通信神戸支局の木村直登記者が「記者ってどんな仕事」と題し授業を行った。「『鬼滅の刃』はなぜ人気か。いろいろな人に取材し、記事を書くのが記者の仕事」と説明。「新聞から『へぇ~』『面白い』と思うニュースを探そう」と呼び掛けた。 

児童の感想一覧

 6年生は、総合的な学習で淡路人形浄瑠璃に取り組んでいる。3年目になる今年は、目標を「淡路人形浄瑠璃の魅力を地域や全校生に発信する」と決め、その歴史や演目、それぞれの役割など、自分たちが魅力と感じるテーマについてグループに分かれて調べたり、実際に「戎舞(えびすまい)」という演目を演じようとがんばって練習したりしてきた。

 今回の授業は、淡路人形浄瑠璃の魅力について新聞を通じて伝えようという活動の一環として取り組んだ。

 事前に記者派遣事業を通し、取材の方法や見出しの付け方を学んだ子どもたちは、今回の学習で、自分たちのテーマに合う見出しをグループごとに考えた。そして、考えた見出しについてお互いに意見を出し合い、よりよい見出しになるように工夫した。

 子どもたちは見出しの役割や付け方についてきちんと分かっていないところもあり、まだまだ工夫の余地は残されていると思うが、授業を通して、自分たちの持つ情報や思いを伝える一つの手段として「新聞の良さ」に気付けたのではないかと思う。伝えたいことをしっかりと伝えられるように、これからも取り組みを進めていきたい。
南志乃婦(淡路市立志筑小学校主幹教諭)(11月12日)

兵庫高校 生徒の感想

■兵庫高校(10月12日、対象・1年生31人) 日本経済新聞の堀直樹神戸支局長が「新聞はどう生き残るのか?」をテーマに講義。ネットとスマホの登場で既存のマスメディアが揺らぐ一方、フェイクニュースが氾濫、情報リテラシーを鍛えるため新聞が有用と話した。生徒は新聞の「SWOT分析」も行った。 

生徒の感想一覧

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 新聞を教育に活用する「NIE」の出前授業が10月12日、神戸市長田区寺池町1の兵庫高校であり、日本経済新聞社神戸支社の堀直樹支局長(52)が「新聞はどう生き残るのか?~ニューメディアの台頭が迫る変革~」をテーマに講義し、ワークショップを実施した=写真。1年生の普通科学校設定科目「グローバルリサーチ」受講生31人が講義を受けた。

 第1部「メディアの興亡」では、インターネットとスマホの登場で情報の流れが大きく変わり、新聞やテレビなど既存のマスメディアも揺らいでいることを話した。一方でフェイクニュースが氾濫するなど新たな問題が生じていることを紹介した。

 終了後、生徒たちが講義を参考に、グループに分かれて新聞について「SWOT(S:強み、W:弱み、O:機会、T:脅威)分析」を行い、検討結果を発表した。

 第2部「新聞はどう生き残るか?」の講義では、新聞社の電子化の取り組みなどを説明。情報リテラシーを鍛えるためにクールな視点や多様なソースにあたる重要性を指摘し、その際に新聞が有用であると強調した。最後の質疑応答も活発に行われた。

 生徒の感想 小森康介さん「SNSの情報をうのみにせず、多くの情報源から真偽を冷静に判断する力が必要だと実感した」、竹垣優さん「考えるべきことは『どうすれば再び新聞は活用されるようになるのか』ではないかと思う」、竹中志香さん「新聞はフェイクニュースが少なくていいけど、もっと身近に、もっと手軽に読めるようになったらいいなと思った」、加治朋佳さん「SNSと新聞、情報源をどちらかに絞ろうとは全く思わない。講義を聞いて新聞のすごさを知り、SNSの利便性を感じた」

   ※「わたしの感想NIE」に生徒のみなさんの感想を掲載しています。

 津田 康子・伊丹市立天神川小学校校長(兵庫県NIE推進協議会特任アドバイザー)

 公開授業がZoomでも視聴できると聞き、参加した。南志乃婦主幹教諭の指導の下、記者派遣で学んだことを生かし、児童が「『淡路人形浄瑠璃』の魅力を伝える見出し」を考える授業が展開されていた。日常の取り組みの成果がとてもよく見える授業だった。「ルーブリック評価」を取り入れ、児童が授業の到達目標を意識しながら学習に臨む姿が画面を通して伝わってきた。

    新学習指指導要領が実施され、授業と評価をどう一体化させるか、学びに向かう力をどう位置づけ評価していくのかーなど、今後の課題を見据えた貴重な提案であった。

 花折 了介・姫路市立豊富小中学校教諭
   意見交換会で、見出し作りは「究極の要約」との意見があったように、とても思考を要する学習活動だと思う。「ちょっと格好つけて見出しを付けよう」という意見もいいなと思った。
授業では、主見出しと脇見出しを考えることで文の組み合わせが生まれ、表現の工夫が促されるところが印象に残った。
   今回、記者派遣での学習を経て公開授業が行われていた。授業を行う教員の立場からは、児童生徒の考えたものをより良いものにする指導が重要になる。そこで記者派遣でプロの記者からアドバイスを受けることは、子どもたちの大きな刺激になると思う。
   意見交換会は新聞社や教科書の出版社など、多様な立場からの意見を聞くことができ、刺激を受けた。今後の授業やNIE活動に生かしていきたい。

   飯塚 智美・南あわじ市立三原中学校教諭、郷土部顧問
 「伝統芸能」と聞くと、堅苦しく、若者には敬遠されることが多いように思う。しかし、志筑小の児童たちは「郷土の文化を守ることは大切だ」という内容になりがちなところを、「淡路人形のここがすごいです」「ここが面白いです」と、伝えたい思いを形にするため、熱心に取り組んでいた。
  歴史ある淡路人形浄瑠璃の魅力を、たった10文字で表現できる素晴らしい感性や、自らの思いをしっかりと伝える力をもった児童の姿に感動した。
  また、郷土芸能に関わる者として、完成した見出しを通して、伝統を受け継ぐ重みよりも、まず楽しむことの大切さを知る機会となった。地域教材を使用することで、ふるさとを愛する気持ちが育ち、多様な価値観を育める授業だった。

    日下 芳宏・淡路市教育委員会教育部長
 志筑小学校の子どもたちは知的好奇心が実に豊かである。生活科・総合的な学習の研究校として実践を積み上げてきた同校の子どもたちは「読み手を意識して伝えよう」という高いモチベーションを持って学習に臨んでいた。
 今回の学習活動は、一つの正解に向かうものではなく、自分たちの力で練り上げよりよい表現を生み出そうとする、まさに知的かつ創造的な活動であった。この活動を通して子どもたちは「淡路人形浄瑠璃」というふるさとの文化に対して、これまで以上に丁寧なまなざしを向けることになったであろう。「学びの質を高めるためには、子どもが自ら題材にはたらきかけていく過程こそ大切にしなければならない」ということをあらためて認識させられる時間であった。
 ご指導・ご支援をいただいた県NIE推進協議会の皆様に心より感謝を申し上げたい。

   石﨑 立矢・京都府NIE推進協議会事務局長(京都新聞社読者交流センター長・京都新聞ジュニアタイムズ編集長)

 淡路人形浄瑠璃についての十分な学習や体験を踏まえた「見出し」作りは、内容の濃い授業となった。主見出しと脇見出し、2つの組み合わせを考える作業は、児童にも先生にも手間はかかるかもしれないが、最も伝えたいこと、感動をどう表すか、工夫を促す仕掛けであり、効果の高い手法であると印象に残った。

 Zoomを介しての公開授業は、兵庫県NIE推進協議会事務局と開催校、参加者の信頼関係、準備のたまもの。遠隔地の学校、報道機関による参観や意見交換が可能であり、特に今回、意見交換会でそれぞれの立場から感想やアイデア、経験など活発な発言があり、今後の活用の可能性を感じさせるものであった。

 ※公開授業の様子を伝える読売新聞、産経新聞、神戸新聞の記事を「セミナー・発表会・公開授業」に、児童のみなさんの感想を「わたしの感想NIE」に掲載しています。