兵庫NIEニュース

【寄稿】兵庫のNIEに寄せて

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西上三鶴・兵庫県教育長

 生徒の誰もが先生に

  平成から令和に時代も変わり、これからの日本は、国際化・情報化に伴い、多様な価値観をもつ人々と出会う社会となります。NIEの活動は、国内外の記事を通じて、世界を知るだけでなく、問題・興味を探す力、解決策・新たな展望を考える力、そして、自分の意見を伝え、他人の意見を聞くことを通して多様な考えをもつ人々と共生する力も育てています。

  昨年9月に行われた尼崎市立大庄北中学校の発表は、生徒誰もが先生であり生徒でした。生徒が生き生きと授業に向かう姿に感動しました。担当された先生の3年間の積み上げに敬意を表します。

    11月には県立津名高等学校の発表会に伺いました。地域の課題を基にNIE活動で学んだことを、生徒達はポスターセッションの中で発揮していました。

   昨年7月に行われた「NIEセミナー」にも参加しました。新聞をどう活用するかなど、活動の成果を左右する先生の授業力は、とても重要です。

   ICT技術が発達しても、多様な情報を限られた紙面で提供する新聞は最も身近な社会に触れるツールです。これからもNIE活動を応援していきます。

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長田 淳・神戸市教育長

 「世界の中の私」学ぶ

 2020年度から順次始まる学習指導要領には、学校で学んだことが「生きる力」となって、その先の人生につながってほしいという願いが示されており、そのために新聞を活用することも総則に明示されています。

 このような折、新聞各社のご理解とご協力を賜り、学校の授業等において、新聞記事の二次利用が行えていることは、すばらしいことだと思います。もちろん、新聞記事を印刷利用するには、著作権法に留意する必要があります。「学校の教育活動」という理由で著作権を軽んじてはいけません。子どもたちに遵法の精神を醸成することも大切で、著作権を守りつつ、NIE活動を推進しています。

 さて、19年度のNIE実践校に神戸市からは小学校2校、中学校1校、高等学校1校が指定を受け、活動しています。神戸市で過去最多です。実践校では、記者派遣活動、新聞6紙の無償配布などを通し、児童生徒の世の中を見る目に変化が表れました。自分は、他者との関係性の中で存在する。つまり、自分のありようは、世界と無関係ではないという相互承認の力が向上しており、NIE活動は、よりよい社会の担い手の育成につながっていくものだと感じています。

 ※「兵庫NIEニュース」第62号に掲載しています。