2019年11月アーカイブ

 2年生文系生徒100人が「総合的な学習の時間」で取り組んできた「REBORN・PROJECT」の成果発表会をご覧いただいた。

 生徒が地域課題を探し、解決策を考え、地域に発信していく取り組みだ。地域課題を探す中で、生徒が2人一組のペアを組んで、4カ月分の新聞から地域課題に関する記事をリストアップするという取り組みを行った。新聞を1面から終面までめくったことのない生徒もいる中で、新聞から情報収集し、新聞を通して地域と全国の現状に触れることができたと感じている。

 そして、生徒たちは、自分たちの解決策をポスターにまとめ、地域の方々に発表を聞いていただいた。緊張しながらも一生懸命発表する姿からは、誰かに伝えたいという姿勢が強く表れていた。

 その後の研究協議では、考えたアイデアを「誰が」「どのように」実現していくのかが次の課題になるとのご指摘をいただいた。今後も、自分たちの地域や社会の問題に「自分ごと」として関わっていけるような生徒の育成が必要だと感じる。そのためにも、新聞を通じて社会・地域を見つめ、自分の世界を広げていく指導を続けていきたい。
大石昇平(津名高等学校教諭)(11月29日)

 兵庫県NIE推進協議会は、2020年度のNIE実践指定校を募っている。

 対象は兵庫県内の国公私立小・中・高校と特別支援学校で、学校長の承認が必要となる。

 募集するのは10校。期間は原則2年で、指定校には県内で発行されている日刊6紙を2~4カ月間、
無償提供する(英字新聞、小学生向け新聞への変更可)。記者派遣事業も利用できる。

 締め切りは20年2月末で、3月中に内定する。応募多数の場合、地域や校種を考慮し選考する。
申し込み、問い合わせは同協議会☎078・362・7054

 <事務局からお礼とお知らせ> 多くの学校からご応募いただき、ありがとうございます。普通校は2月14日をもって締め切らせていただきます。

「2020年度NIE実践指定校募集」・PDFファイルを開く

兵庫NIEニュースを発行しました。第61号となる今回から2ページ増やし6ページにしました。
尼崎市立大庄北中の公開授業や近畿NIEフォーラムの様子などを紹介しています。

下記リンクからPDFファイルをご覧いただけます。

NIEニュース(61号)・PDFファイルを開く

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 津名高校(淡路市)の生徒たちが地域課題を探り、解決策を考える授業「リボーン・プロジェクト」の成果発表会が11月27日、同校であった。「総合的な学習」として2017年度から続けている取り組みで、在校生のほか、行政や教育関係者、市民団体のメンバーらが高校生の自由な発想を生かした提案に耳を傾けた。19年度のNIE実践指定校による公開授業を兼ね、兵庫県NIE推進協議会が共催した。

 同プロジェクトでは本年度は、文系クラスの2年生約100人が新聞を使った地域の課題探しや関係機関への調査に取り組んできた。
 生徒は28班に分かれ、福祉や防災、観光などをテーマに、ポスターセッション形式で発表。廃校で脱出ゲームやお化け屋敷を▽祭りを動画サイトで発信▽災害に備えヘリポートの整備を▽イスラム教徒をハラル料理でもてなす―など、多彩なアイデアを披露した。今回は理系の生徒約10人も発表に加わった。
 障害者のスポーツイベント「淡路パラリンピック」の開催を提案した班のリーダー宮田紗羽さん(17)は「健常者と障害者が理解し合い、誰もが助けを求め合える社会になればうれしい」と話していた。

[写真説明]ポスターセッション形式でアイデアを発表する生徒ら=津名高校

  生徒の感想 小山莉穂さん「野良犬や野良猫の殺処分の記事を読んで解決策を考えた。考えを伝えることの大切さを学んだ」、小松優太さん「新聞から地域防災の課題や取り組みを調べた。専門用語をわかりやすく伝えることに苦労した」、向田沙奈依さん「新聞から課題を探すことで自分の視野が広がり、社会の出来事に対する見方が豊かになったと思う」

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    新聞を学校の教材に活用するNIE(教育に新聞を)活動の一環として、神戸市兵庫区の市立神港橘高校で11月27日、毎日新聞神戸支局の春増翔太記者(35)が講演し、「時事問題」の授業を選択する3年生約30人が耳を傾けた。

 県NIE推進協議会の記者派遣事業。今年春まで東京本社社会部で事件担当だった春増記者は、歌舞伎町で飛び降り自殺した若い女性の背景を探った自身の記事を紹介。街で何十人にも声をかけて女性の知人と接触し、ホストクラブに未払い代金があった話を聞き出し、警察で事実確認の取材をした上で記事にした経緯を話した。「社会の隙間(すきま)にうっかり入り込み、事件が起きてしまうと知ってほしい」と話した。

 また、京都アニメーション放火殺人事件の犠牲者が新聞で実名報道されたことについても話題になった。同校の授業で、多くの生徒から疑問視する意見があったといい、春増記者は「社内で議論になり、私も迷う。読者に被害者への想像力を働かせてもらうために名前が必要だとも思う」と話した。

 授業後、曲淵天音さんは「警察への確認までしているとは想像していなかった。1本の記事を作るのに多くの時間と手間をかけていることに驚いた」と話した。芳原楓香さんは「新聞社内でも実名を出すべきでないという意見があったのに実名報道されたことは納得できない。もっと慎重に考えるべきだったと思う」と話した。【脇田顕辞】=28日付毎日新聞朝刊神戸・明石版

 生徒の感想 木村伊吹さん「歌舞伎町という知らない世界の実話を聞くことができた。その取材手法に関心をもった」、谷水勢(はづむ)さん「一つ一つ取材を積み重ねたその先に記事があることを知った。記者の仕事に興味がわいた」

 日本新聞協会は11月25日、家族や友人と新聞を読み、話し合ってまとめた感想文が対象の第10回「いっしょに読もう!新聞コンクール」の最優秀賞に、福岡県粕屋町立粕谷中央小5年、清武琳君ら3人を選んだと発表した。兵庫県内からは2560点(前年比54点増)の応募があり、個人の奨励賞に4人、学校奨励賞に7校が選ばれた。

 国内外の小・中・高・高専生から計5万7561点の応募があった。
 県内の入賞は次の通り。(敬称略)
 【奨励賞】福留悠斗(姫路市立糸引小5年)=神戸新聞6月29日付夕刊「木製ストロー高い評価」を読んで▽広瀬幸喜(尼崎市立大庄北中3年)=毎日新聞7月30日付夕刊「難病・貫く医師の道」を読んで▽田上遥夏(加古川西高1年)=神戸新聞7月13日付朝刊「『原爆の図』語り伝える」を読んで▽田中愛子(御影高1年)=神戸新聞8月16日付夕刊「自治会副会長は19歳」を読んで
 【学校奨励賞】尼崎市立大庄北中、六甲学院中、伊丹高、加古川西高、神戸鈴蘭台高、御影高、武庫荘総合高

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 兵庫県NIE推進協議会の秋田久子会長が10月29日、神戸市灘区篠原伯母野山町1の神戸松蔭女子学院大学文学部でNIEの講義を行った。日本語日本文化学科の6人が参加し、将来、教壇に立ったときのNIE展開例を学んだ。

 学生たちは2班に分かれて二つのワークショップに取り組んだ。「投書にお返事」は、実際に新聞投書欄に採用された「大人の行動 若者は見ている」など6点から1点を選び、投稿者に書いた返事を読み上げた。秋田会長は「返事を書いて、感想を共有することが人権意識の啓発にもなる」と強調した。
 「出生前診断...支えるために必要なことは?」では、学生たちは新出生前診断に関する記事を読み、模造紙に妊婦はじめ、夫、親類、勤め先など、考えられる関係者を記した。続いて、関係者の感情を付せんに書いて貼り、よりよい社会生活の在り方について話し合った。学生からは「個人的な問題に軽々に意見を挟まず、見守る節度をみんなが持つことが必要」などの意見が出た。
 大村美喜さん(3年)は「どんな意見でも児童生徒を元気づけることが大切だと思った」、井上柚(ゆう)さん(4年)は「各段階の取り組み時間を短めに設定すると教室が活発になる」と話した。

[写真説明]新出生前診断について考えたワークショップ=神戸松蔭女子学院大学

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    新聞を教育に活用するNIEの授業が11月8日、加古川市の県立加古川南高校であった。県NIE推進協議会の主催で、読売新聞姫路支局の米井吾一支局長(46)が、1年生約240人を前に取材テーマの立て方などについて話した。

 同高では、生徒がそれぞれ自由なテーマで課題を設定し、8000字の論文を書いて発表する課題研究論文に取り組んでいる。

 米井支局長は、「記者は、社会の様々な問題の背景を探り、もっと良い社会にするにはどうすべきかという思いで記事を書いている」と説明。相次いだ台風災害や、那覇市の首里城で起きた火災などを例に、「例えば、大きなニュースが起きれば地元の対策はどうなっているのか調べてみるのも一つの方法」などと語った。

 論文を書く際には、問題解決のために活動している人にインタビューしたり、アンケート調査の結果を取り入れたりすることで論文の説得力が高まるとし、「専門家の本だけに頼らず、自分なりに材料を集め、その中から結論を導くことが大切」とアドバイスした。=9日付読売新聞朝刊姫路版

 ※写真は兵庫県NIE推進協議会が撮影

 生徒の感想 十市孟人(たけと)さん「専門家の話をすべてうのみにせず、自分で考え、答えを導き出すことが大切だとわかった」、溝口楓月(ふつき)さん「新聞に対する意識が変わった。それをなぜ記事にしたのか考えながら読みたい」

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 NIE(教育に新聞を)活動の一環として、養父市建屋の建屋小学校で10月31日、ゲームを通じて英語を学ぶ授業「イングリッシュマラソン」が行われた。全校児童44人が縦割りの5班に分かれ、各教室を巡りながら、教員らが出題する課題に取り組んだ。

 英語教育改革が進む小学校で児童と教員に英語に親しんでもらう試み。県NIE推進協議会の提案で、NIE実践指定校の同校が昨年度から取り入れている。
 この日は八つのゲームが用意され、英字新聞を活用したものが目立った。同じ新聞記事を見つける神経衰弱や、数ピースに切った記事を元の形に並べ直してふさわしいタイトルを考えるジグソーパズルなど。6年才木啓輔君は、外国語指導助手(ALT)キャティ・ムーワさん(24)が出す三つのヒントから、どの記事に関することか当てるクイズが楽しかったという。
 6年田村千奈さんは「キャティ先生の発音を聞いて、アルファベットを1文字ずつ並べて単語にするゲームが楽しかった」と話した。=11月2日付神戸新聞朝刊但馬版

[写真説明]1週間の英字新聞を月―日曜の順に並べるゲーム=養父市建屋(撮影・山畑由美)

 坂本和宏教諭(53)の話 「レベルの高いゲームもあったが、児童たちは十分こなしていた。英語力が身に付いてきたと思う」

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   教育現場での新聞の活用を目指したNIE活動の一環として、三田市の県立三田西陵高校で10月31日、産経新聞神戸総局の河合洋成記者が1年生約200人に対し、「自分の考えを表現する」をテーマに新聞を使った特別授業を行った=写真。

 同校では、生徒らの文章力向上を目指して小論文講座を企画。新聞記事などを参考に書くことへの関心を高めようと、特別授業を開くことにした。

   河合記者はこの日、体育館に集まった生徒に配られた本紙朝刊などをもとに講演。事実を伝える新聞記事と自分の考えをまとめる小論文の違いを比較しながら、文章の書き方を解説した。そのうえで、新聞を読んで多様な意見を知ることで表現の幅を広げられると説明。「匿名ではなく、責任を持って書くことが信頼につながる。書く力をつけて、自らの発信力を高めてほしい」と強調した。=11月1日付産経新聞朝刊神戸版

 生徒の感想 藤澤ムアさん「『まず、大事と思うところをズバリ書く』という言葉が心に響いた」、井尻夏澄さん「間違った内容の文を書くと信用を失うのだとあらためて思った」