2019年12月アーカイブ

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 2020年4月開校予定の姫路市立豊富小中学校(同市豊富町)が、将来への指針となる特色ある取り組みに「NIE(教育に新聞を)の実践」を掲げている。同小中学校は、隣接する市立豊富小・豊富中が一つになる、小中一貫の義務教育学校。助走期間の19年度は、両校とも日本新聞協会から実践校の指定を受け、新聞記事を基に環境問題などの調べ学習をしたり、修学旅行など体験活動を新聞にまとめたりしたほか、「朝の時間」には一斉放送で記事の読み聞かせも。20年度に向け、両校の教員によるNIE研究も始めている。  (田中茂典・兵庫県NIE推進協議会コーディネーター)

 「NIE活動の実践」を掲げるのは、「新聞を『つかう』『つくる』活動を通し情報活用能力を育みたい」(阪本靖・豊富小学校長)「『調べる力』を育てる柱に新聞活用を位置づけている」(山下雅道・豊富中学校長)からだが、何より両校には、NIEに前向きな教諭が多い印象がある。今年8月、宇都宮市であった日本新聞協会主催のNIE全国大会や、近畿NIEフォーラム(大阪市)に参加した教諭たちが、紹介された取り組みを授業に取り入れている。

 豊富中の井上佳尚教諭は、NIE全国大会で、ことばの貯金箱「夢」プロジェクト代表・渡辺裕子さんが実践する「つぶやきNEWSっす」を知ったという。これは数人ずつで班を作り、各自が気になった記事を切り抜いて紹介。模造紙に貼り付け、余白にみんなで共感や疑問など「つぶやき」を書き込む。そして読み返し、考えを班内で発表する―という内容。井上教諭は9月、尼崎市立大庄北中学校であったNIE公開授業も参考に、学校司書とこうした授業を行ったという。  豊富中に取材に訪れた日、井上教諭の指導で、小学校の教員ら5人が「つぶやきNEWSっす」に取り組んだ。兵庫県稲美町と熊本県益城町の災害協定の記事を選んだ花折了介教諭は、「各自が選んだ記事について考えを話したり聞いたりすることで、自分の考えを深めることができる」と述べた。

 こうした活動は、校内にとどまらない。両校は9月、地元公民館と共同で地域住民を対象に、「人権」をテーマに新聞を使ったワークショップ「まわしよみ新聞」を開いた。豊富小の井上幸史教頭は「新聞は社会への扉。楽しみながら、地域も巻き込んだNIEを模索していきたい」と話している。 

[写真説明]「つぶやきNEWSっす」のワークショップ。気になる記事を選ぶ豊富小教諭ら(写真左)、新聞を使って調べ学習しやすいよう専用コーナーを設けた中学校の図書室。来春から小学生も利用できる(同右)=いずれも姫路市立豊富中学校 

 6年生27人が、新聞の記事の読み比べにより、消費増税について自分の考えをまとめていく授業をご覧いただいた。

  10月、税率が8%から10%に引き上げられた消費税は、児童にとって自分の生活との関わりが大きいため関心も高い。授業で取り上げることで、それに関わる国会・内閣・税金などのそれぞれの働きを具体的に理解させることができると考えた。

   増税に関する3つの新聞記事を読み比べ、これまでの学習をもとに、賛成か反対かに分かれて討論を行った。読み比べにより、少子高齢化や社会保障、軽減税率など多様な見方から考えることができた。また、授業前は、「物価が高くなるから反対」という意見も多かったが、授業後は、「これからの社会のためには必要だから賛成」「一部の人しか得しないから反対」など、多様な見方をもって自分の考えをまとめることができた。

 次は授業で深めた学びをもとに、消費増税についての自分の考えを新聞投書欄に投稿する。新聞を通して社会事象への関心を高め、投稿によって社会に参画できる児童の育成を目指していきたい。
藤池陽太郎(加古川市立川西小学校教諭)(12月6日)

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    教育現場で新聞を活用するNIEの公開授業が12月5日、加古川市の市立川西小学校で行われた。6年の社会科の授業で「消費税増税」をテーマに取り上げ、児童たちが賛成派と反対派に分かれて討論した。

 児童らはこれまでの授業で、新聞記事や政府広報などを基に税金の種類や消費税の使い道などを学習。この日は、消費税増税に賛成13人と反対の14人に分かれ、意見を戦わせた。

 賛成派は「家計の負担を軽くするため、軽減税率などが導入されている」などと主張。これに対し、反対派は記事などを手に「制度が分かりづらいと思っている人が多い」「お年寄りはポイント還元を使えない」などと反論していた。

 消費税増税について自分の意見を新聞に投書することが授業の目標で、指導に当たる藤池陽太郎教諭(31)は「みんな6年後に選挙権を得る。自分の考えを持って投票に行ってほしい」と話していた。=6日付産経新聞朝刊神戸版   

    学校で新聞を活用する活動、NIE(教育に新聞を)の公開授業(県NIE推進協議会主催)が12月5日、加古川市立川西小学校で行われた。
 同小は、2018年度から日本新聞協会のNIE実践校に指定され、授業で新聞を使っている。6年生は、2週間前から「なぜ消費税を増税したのか」を、海外の事例や軽減税率を紹介した新聞記事を読み込むなどして自分たちの考えをまとめてきた。
 この日の授業は6年1組で行われ、出席した児童27人が、藤池陽太郎教諭の指導で、新聞などで学んだことを基に、増税のメリットやデメリットを挙げた上で、賛成、反対に分かれ討論した。
 賛成派は「幼児教育の無償化など少子高齢化が進むなかで必要だ」、反対派は「お金持ちもそうでない人も同じ負担」など、積極的に意見を出し合っていた。
 藤池教諭によると、児童たちは普段から関心のある新聞記事を切り抜いて自分の考えをまとめており、新聞への投稿なども行っているという。=6日付読売新聞朝刊播磨姫路版

 NIE(教育に新聞を)活動の一環で、消費税増税をテーマにした社会科の公開授業が12月5日、加古川市米田町平津の川西小学校であった。児童は新聞を読んで知識を深め、賛成・反対のそれぞれの立場に分かれて意見を交わした。

 県NIE推進協議会が企画。同校は2018年度から日本新聞協会のNIE実践校に指定されている。

 6年1組の授業に27人が出席。担任の藤池陽太郎教諭(31)の指導のもと、2週間かけて過去の新聞記事を読み込み消費税について考えてきた。

 児童は、新聞記事のコピーを手に賛否両論を展開。増税に賛成する児童は「社会保障費が膨らんでいる」「将来の負担を減らすために必要」「国会で慎重に話し合った結果」と主張。一方、反対派は「収入の少ない人の負担が増える」「物を買わなくなり、経済が悪化する」と指摘していた。

 高松日向さん(12)は「増税反対の立場は変わらないが、賛成する人の意見にも理解できるところがあった」と話していた。(本田純一)=6日付神戸新聞朝刊東播版

 [写真説明]消費増税は賛成か反対かー。討論する児童たち=川西小学校 ※写真は兵庫県NIE推進協議会が撮影

 児童の感想 石川久響(くおん)君「ぼくの意見と逆の意見や少し同じ意見など、いろいろ聞けて楽しかった」、熊谷誓君「討論してみて、世の中には難しい問題が山積みなんだなと思った。これからも考え続けたい」、中澤泰輝君「賛成・反対の意見とも大切だなと思った。もっといろんな人の意見も聞いてみたい」

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    日本新聞協会が任命するNIEアドバイザーは、地域のNIE普及・発展のリード役だ。兵庫では現在、NIEの実践経験豊かな10人の先生たちに務めてもらっている。アドバイザーによる最近のNIE研究活動を紹介する。

 明石市のNIE研究会が6月24日、同市二見町の二見西小学校で、2019年度の第1回研修会を開いた。この日は、若手教諭4人とベテラン教諭1人の計5人が参加。同校の若生佳久主幹教諭が講師となり、前半はNIEや新聞活用法について説明。後半は新聞紙面から「文字数の多い熟語」を探すなどのワークショップを行った。若生教諭は長年、新聞を授業に活用した指導を手がけており、日本新聞協会NIEアドバイザーを務めている。研究会は同校のフレッシュ研修会と兼ねて開催された。

 研究会の19年度のテーマは「情報化社会とNIE~学校現場での新聞活用の広がりをめざして~」。若生教諭は、新聞には「作る」「読む」「資料として使う」「活用する」「新聞の仕組みを知る」などの活用法があることを紹介した。

 ワークショップでは、これまでの授業で利用してきた自作のワークシートを紹介。「(文字数の多い)熟語(複合語)を探そう」では、普段新聞を読まない児童も「熟語探し」に懸命になり、自然と記事を読み進めていくようになることや、10文字以上の言葉を見つけたときには教室から歓声があがった経験を話した。参加した教諭が実際に取り組んだ中では17文字が最高だった。

 切り離した4コマ漫画の順番を決めるワークシートでは、二通りの並べ方が見つかるなど、話を組み立てたり漫画をもとにお話を作らせたりすることが、文章表現力の学習にも有益であると紹介した。

 参加した教諭は「NIE活動の面白さが分かった。国語や社会だけでなくいろいろな教科で活用できる可能性にも気づいた。早速授業で熟語探しをやってみます」と話していた。

田中 茂典(兵庫県NIE推進協コーディネーター)(7月30日)

[写真説明]紙面から文字数の多い熟語を探す教諭たち

 ※日本新聞協会NIEサイト・各地の教員研究組織で、明石市のNIE研究会を紹介しています。 

各地の教員研究組織

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 養父市建屋の建屋小学校で12月3日、新聞作りアプリ「ことまど」を使った授業が行われ、5年生8人がパソコンを使って新聞作成に挑戦した。記事の書き方や見出しのつけ方などを神戸新聞記者から教わり、自分たちの書いた記事を推敲(すいこう)して仕上げた。

 同校は日本新聞協会のNIE(教育に新聞を)実践校に指定されている。「ことまど」は神戸新聞社が開発したクラウド型アプリ。紙面の割り付けが自動化されており、本格的な新聞を簡単に作ることができる。
 5年生は2学期、米作りや郷土の偉人・北垣国道について授業で学習し、4人ずつのグループでそれぞれをテーマにした新聞作りに取り組んできた。
 日下部茉央さん(11)は「見出しを考えるのが難しかったけれど、いい新聞ができた」と喜んでいた。(武藤邦生)=5日付神戸新聞朝刊但馬版

[写真説明]記者の指導を受けながら新聞作りに取り組む児童たち=養父市建屋

 児童の感想 田村絢稀(あき)さん「文章を考えたり、紙面に合わせて文字数を削ったりするのが難しかった」、板戸恵美子さん「たくさんの人がかかわって新聞を作っているのを知った」